サムはやっとの思いで勇に別れの言葉を口にした。

しかし勇は、

「サムさん。泣かないで。アラシがきても ぼくはどこにもいかないよ。だってサムさんはぼくを助けてくれたでしょ。 だからぼくはどこにもいかないよ。」

たどたどしい口調だがハッキリと主張した。

「ありがとう勇。俺も本当ば、勇ともこの家とも離れたくはないんだ。そうだな。明日になれば台風が逸れるかもしれない。今はそう願うよ。」

勇はニッコリ微笑んだが、心の中では嵐と聞いて、火菜と母の心配をしていた。

ふたりとも、今は行けないけど、ぼくが必ず助けに行くからね。

だから ぼくのこと わすれないで かならず 行くからね。

そう、勇は心の中で何度も叫んでいた。