その二名の勇気ある発言に教室の空気は一変した。

「私も友達と一人の男子をめぐって対立して、イジメられた。だからもうイジメはイヤ。」

「私は今だになんで自分がイジメられたのか分からないんだ。あまりにたくさんの言葉で罵倒されたから、それを考えるだけで今だに吐きそうになるから…。」

それを聞いてマリが泣きだした。

「みんな…ゴメン。ごめんなさい。私、腹が立ってまたここをイヤなムードに変えようとしてた。私自身イジメられるのはもう絶対イヤなのに…。」

サクラがそんなマリの肩を叩きながら

「それだけ好きだったんでしょう…。でも見守ってやろうよ。みんな!私もカミングアウトしちゃうけど、誰よりも真っ先に命センパイに告ってふられたのは私です!」

とサクラも言った。

そこでみんなの気持ちが和んで来たところに火菜が教室に戻った。

命はみんなに見えないところから見守っている。

「みんな、私、命センパイとつきあってるよ。でもみんなとも仲良くなりたいの。私も友達をみつけにここに来たから!」

「なに遠慮してるの!?もうなってるよ友達に ねえヒナ。」

サクラがそう言うとみんなも

「ヒナ。頑張れよ!」

「ヒナ よろしく。」

「私もヒナって読んでいい?」

教室の真ん中で火菜が泣きだしたのでみんなが取り囲んでヒナコールが起きた。

「ありがとう。みんな。」

火菜はみんなと仲良くなれた事、そして『ヒナ』と読んでもらえる事がうれしかった。