俺の長い長い懺悔の後に弥生はやっと口を開いた。

「それは辛かったですね。それで今の仕事をするようになったのですね…。」

「ああ。借金は和田が自分の命と引き替えに持って行ってくれたけど、私は影ながら梓を擁護するのが償いと思ったから……あぁ そうだ!これを君が持っててくれないか。」

俺は車の中に隠していた黒いバックの中から通帳一式を取り出すと弥生に手渡した。

「これを『和田 梓』という女性に渡して欲しい。私が組織に捕まると渡せなくなるので、君が持っていてくれないか…。」

弥生は躊躇したが

「これは預かってもかまいませんが、今の懺悔をアナタが直接、梓さんにすべきじゃないですか!?」

と俺を真正面から見つめ、そして抱き寄せてくれた。

その温もりが俺の冷えきった体に染み渡り、心が満たされていく感じがした。

ずっと潮が引いたままで干からびた海岸にやっと潮が満ちた様な感覚。

死ぬ前にしなきゃならない事の答えがやっと出た俺は

「分かった。とりあえず日本海に出よう。そしてそこからは梓に会いに行く。それでいいか…?」

弥生は私の目を覗きこんで“それがいい”と頷いた。