ちょっとだけ
いいかな?
――ガチャ
「お邪魔しま~す」
モノトーンの落ち着いた雰囲気
きちっと整理された部屋
ん?
別に普通じゃん
「……余計に気になるし」
あたしは部屋に一歩足を踏み入れた
――カタンッ
「あ………」
開けっ放しの窓から入ってきた風で机の上に置いてあった写真たてが倒れた
「び……びっくりしたぁ」
あたしは写真たてに手をかける
「……元カノとの思い出の写真だったりして~」
軽い気持ちで
写真を見た瞬間
ドクン
と心臓が鳴った
「………あれ?」
今まで見たことがない顔で笑う今より少しだけ幼い翔
その横に写る女の子
「………。」
なんかおかしい
なんだろ
この感じ………
「おい」
「え……っ?!」
「何やってんの」
ガバッと振り返るとドアにもたれかかっている翔の姿
「え………あの えっと……」
とりあえず持っていた写真たてを後ろ手にする
「………ごめんなさい」



