「円香ちゃん」

ようやく

昇降口で靴を履き替えている円香ちゃんを見つけた

あたしを見て一瞬驚いた顔をした

「ラッキーな女 まだ生きてたんだ」

しらっとした目であたしを見る

そこにいつも教室で見る可愛らしい円香ちゃんはいなかった

これがほんとなの?


「あんたの存在が翔をおかしくする

真緒先輩がいなくなってようやくまあのものになると思ったのに」

「……。」

「邪魔しないでよ もうまあのものなの 奪わないで」

----パン

「馬鹿じゃないの」

円香ちゃんは頬を手で押さえ目を見開いた

「何すんのよ」

「翔はものじゃない あんたなんかのものじゃない」

円香ちゃんをきつくにらむ

「好きなら正々堂々勝負しなよ

円香ちゃんは間違ってる おかしいよ」

「うるさい!」

目に涙を浮かべながら叫ぶ

「そんなんじゃ翔も幸せになれないよ!」


「もう遅いの どうしようもないの 好きだもん
自分が押さえらんないくらい好きなの」

「円香ちゃん…」

「あんたさえ…あんたさえいなければ…」



「それは違うと思うよ」

あたしと円香ちゃんが声のほうを向く

「陸?」

なんで…?

「もう気づいてんでしょ?あんただって 無理だって」

ゆっくり歩みよって陸は円香ちゃんを抱きしめた

「もうやめよう つらいのはあんただ 終わりにしよう」

「う…あ…ぁ」

「終わりだ」

あたしは何も言えずただ2人を見ていた