Security Abyss 2

次の日、戸部は変質に備えて、ワンカップの瓶ごと袋に入れて登校した。教室へ入った戸部を迎えたのは予想とちょっと違うものであった。

「お前小崎襲ったんだって?やるじゃんwwww」
「もし今度やったときに捕まったらテレビ出て「そんなことするような子には見えませんでしたねえ・・・」って言ってやるよwww」
「逆に「なんか怪しかったんですよねえー」とかどうよ」
「ウケるwwwwww」

自分が話題の中心にいる。そして、小崎が馬鹿にされている。スクールカーストの上の下にいた小崎が、いま下の上にいる。計画とはかなりずれたが、復讐の一部を果たしたことになり、戸部はまんざらでもない気分となった。しかし、まだ終わっていない。今日は、昨日のことを反省しつつ、確実に計画通りにことを進めるつもりでいた。

戸部が標的にしたのは大塚(オオツカ)。「いじり」を行う集団の中心にいて、常に周りを男が「護衛」している女。ファッション雑誌のモデルの仕事がある、といってたまに学校を休む程度には見目麗しいが、あまり戸部の好みではなかった。それでも、武器を手にした戸部の劣情を煽るには十分だった。大塚はよく授業中に教室を出て携帯電話で通話しているので、そこを狙えばいける。戸部は、眠っているフリをしてタイミングを見計らう。

1限目、2限目と見計らうも、なかなか機会が無い。とうとうそのまま昼休みになってしまった。