Security Abyss 1

「どうだった」
「ひっ」

男は鞍玲の部屋の椅子に座り、鞍玲はベッドに座っている。

「どうだったと聞いている」
「ひいっ……!」
「見てもわからんのだ。男の携帯電話に何かあったか?」
「……何もなかった」

鞍玲は中空を見ながらつぶやいた。
黒い男が続ける。

「そうか。それは嬉しくないことなのか」
「なんで」
「ただの推測だ。言葉に覇気が無い」
「杞憂だったみたい。疑って悪かったな、と思って」
「疑うことは悪いことなのか」
「……話通じないってよく言われるでしょ?」
「聞かないな。何故だ?」
「ただの推測」