「宗教の人はホント暇ね……」

鞍玲(クラレ)は片手でポストから手紙を取り出すと、読むでもなく目を通しただけでゴミ箱に放り込んだ。

「ヨハネの黙示録……なんだったっけ……ホラー映画?」

手紙を捨てて空いた右手で鍵を回し、ドアを開ける。ずっともう片方の手で持っていたカバンは、いま宙を舞い、そして床へ落ちた。バタバタと玄関から自分の部屋へ駆け込み、ベッドへ体を沈める。

「あー、疲れた……」

鞍玲は自らの要領の悪さを、いつもするように嘆いた。偶然にも地域の進学校に入れたが、後が続かず勉強に追われ、順位もあまりよいとはいえない。その状況に、鞍玲は慢性的に疲れていた。