互いの名前を互いが理解したことに満足したのか、
サチはうんうんと頷き、
それから桐本の手をとって階段を昇って自分の部屋へと向かった。

男を連れ込めるような整理整頓の行き届いた部屋かとふと気になったのだけれど、
20人目にもなるとかまいやしないのかなと勝手に納得した。

どうせ、妹の5分の1の数の男しか知らない私なのだから、
考えたところでわかりはしないだろう。

もしかしたらサチも私と同じように、
大惨事とさえ形容できる、
異臭さえ放ちそうな部屋に、
彼をつれこむことを躊躇しているかもしれないが、
残念なことにそれほど妹想いではない薄情な姉は、
私の部屋を提供してあげもせず、
ひたすらにスナック菓子を胃に叩き込むのであった。