妹が彼氏を連れて来るのは、
何も珍しいことじゃなかった。

妹の幸(サチ)は、
新しい彼氏ができるたびに、
まるで勲章を見せつけるみたいに、
自慢そうに私に紹介してきたものだ。

私は、幸が小学3年生の時に初めて連れてきた、
クラスで二番目に顔が良いというユウジくんの爽やかな笑顔を思い出し、
それから今まで紹介された彼氏の顔を順番に数え上げた。

高校2年の夏休み前に、
彼氏のいない夏休みなんて考えられないという理由だけで選ばれた、
目の前の冴えない容姿の男は、
通算20人目の妹の彼氏くんというわけだ。