ため息をついて仰向けになる。

あの日以来、全てを変えた。

住む所も、名前ですらも。

麻弥の本当の名前は、華緒(はなお)。

中泉華緒。

それが本名だ。

視線を少し横にずらすと、いくつもの写真が目に入る。

香月の笑顔が胸に突き刺さり、華慧(はなえ)の笑顔が心を裂いていく。


「かつき…はなえ…」


酒くさい自分の呼吸に酔ってしまいそうだ。

地元に帰ることもせず、香月と共に生活したこの部屋で、麻弥は過去を引きずっている。