「綾乃はきっと大事にされ過ぎてるのよ。きっと。」

「それにしても、市川さんも随分我慢してるんだろうな。」



えっ?そうなの?我慢してるのぉ???



「もしかして、市川さんに『初めて』って事言いました?」



「う、うん・・・。」



「たぶん、そのせいですね。」



「そうなの?やっぱり最初は面倒くさいんだ・・・。」



私は落ち込んだ。



「そういうわけじゃないと思うよ?」



「そう・・・?」



「最初だからきっと素敵な思い出にしてあげたい、って思ってるんだよ。」



美咲は何かにひらめいたかのように、手をポンッと叩いた。



「綾乃!あんたもう少しで誕生日よね!」



「うん?」



「あんた、2人で旅行行きなよ!」



「えっ?」



「大丈夫。あんたは絶対大事にされてるから!」



「う、うん・・・。」



「そうと決まったら明日にでも市川さんに言うのよ!」



「うん・・・。」