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イヤだっ
ゾワッと恐怖が私を包んで
反射的に耳を両手でふさぎ
下を向き目を閉じる
怖い、怖い、怖いよ
イヤだ
助けてほしい
ポン
急に肩に手を置かれて
飛び上がりそうなくらい
びっくりした
耳から手を離して顔を上げる
「風羽ちゃん?…どうしたの?」
いつの間にか私の隣に座り
すごく心配そうな顔で
伊織くんは私を見つめてた
ドックン、ドックン
心臓の音が鼓膜に響く
「な……何でもない…」
「何でもないって事はないよね?」
眉をしかめて
真っ直ぐ私を見つめる
「これを観てから様子が変だった。何かあった?」
何かあった?
言えるはずもない
伊織くんに
初めて した時、観てたの
イヤだったのに拒めずに
未だにセックスが怖いんです
そんなの……言えるはずない



