映画のストーリーは


大学生の男の子が



年上の人妻と恋に落ちる



そんな内容だった




ストーリーが進む度


動悸がして



変な汗が出る



時折、テーブルのビールに手を伸ばしても



カタカタ小刻みに震えて
うまく掴めなかった



ここは伊織くんの部屋なのに



金森先生の部屋にいるような



変な感覚が私を襲う



もう少しで あのシーンだ




主人公の男の子と年上の人妻が



結ばれるシーン



きれいな



きれいな雨が降る夜



二人は結ばれる



とても素敵な情景で描かれてる




なのに



私の耳には



――――風羽



―――いい?




何年経ったと思ってるの?



普段の生活の中



金森先生の事を思い出す日なんて1日もないのに




なんで?




こんなに声が鮮明に



私の耳に響くの?