ハーフタイム終了の笛が鳴る。

女子たちだけでなく、隣のコートの男子までもが注目の視線を集めるゲームが始まった。

一人だけセーラー服でコートに佇む古河泉水。

泉水は、ゲームが始まると制服姿とは思えない身軽さでゴール付近まで走り出した。

泉水にロングパスされるボールが、わたしの頭の上を越えていく。

軽やかにジャンプしながら受け取った泉水が、ダンっと音をたててさらに高くジャンプする。

ゴール横から、男子並みに勢いのあるダンクシュート。

ゴールの中からストンと落ちてくるボールとともに、

落ち始めた彼女のセーラーのスカートが、ふわりと舞うように浮き上がった。

「……え……?」

チラリと見えた泉水の右足の太ももの内側に。

…………薔薇の模様の、アザ。

「!?」

それは一瞬のことだったけど。

きっとここにいる誰もが、いや、野生動物並みによく見える瞳をもつヴァンパイアの穂高とわたし以外は気づかないほどの一瞬だったけど。

それは、確かに、『イヴの欠片』……だった。

………穂高!!

男子コートを振り返ると、ハーフタイム中の穂高と目が合った。

『神音……二人目の欠片だ』

穂高はそう言いたげに、うなづいた。