次の日、学校へ行くと、朝からバタバタと学校の中は忙しない空気で張り詰めていた。

………『江島先生が、心臓発作で亡くなった』

担任の先生が朝一でクラスのみんなに神妙に語った。

昨夜、学校の関係者と警察に匿名の若い男からの電話があったと語る先生。

『若い女性が学校の中で倒れている』

江島先生は白衣を脱いだスーツ姿で発見された。

白衣は、どこにも見当たらなかった。

そして、用務員のおじさんは失血死でありながら、傷ひとつ見当たらない状態で見つかったという。

血痕は、用務員のおじさんのものしか見当たらなかったとあとになって警察は発表した。

………穂高だ。

わたしは確信していた。

匿名の電話をしたのも、江島先生の白衣を隠したのも、用務員のおじさんの傷を治したのも。

江島先生の白衣には、わたしの血痕がついていたし、廊下にも落ちていたはずだ。

……穂高が、わたしが疑われるかもしれない証拠を全て消しさってくれたんだ。

それに、ヴァンパイアに咬まれた傷を治癒できるのは、穂高しかいない。

さすがに、人間に正体を悟られることに用心深い『ヴァンパイア』だけのことはある。

……なんて思いながら、穂高が用務員のおじさんの首にキスしたのかな?なんて想像してちょっとおかしくなった。