雪がしんしんとまっすぐに降りてくる。

次から次へと降ってくる雪を染める鮮血。



「いや……だ。雪音(ゆきね)を傷つけないで……」



……神音(かのん)おねぇちゃん…助けて…。



……………!!!



「雪音!!!」




「…気がついたみたいね」


起き上った瞬間、グラリ、と視界が揺れた。

一瞬開けた瞳を一度閉じて頭を押さえる。

「……ここは…?」

少しして、江島先生のいつもの病人を落ち着かせるゆったりとした優しい声が聴こえた。

「保健室よ、入江神音さん」

「ほ…けん…しつ?」

瞳を開けた瞬間、白衣の江島先生のじっとわたしを見つめる心配げな瞳と目が合った。

男子生徒たちがみんな揃って憧れの眼差しで見つめる、美人な保険医の江島冬子(えじま とうこ)先生。

「大丈夫?」

スラリとした長身美人だなぁ、なんてぼんやりと江島先生を見つめる。

心配げな江島先生に何も答えることができずにいると、先生はふわりとその白く細い手でわたしの額に触れた。