涙が頬を伝う。

陣野先生は……江島先生が死ぬとわかってて、あんなことをしたの……?

わたしに「イヴ」を甦らせるために……。

ギュッと瞳を閉じると、たくさんの涙が溢れ出てきた。

江島先生……若くてすごく優しい先生なのに……。

「……穂高、連れてって。陣野先生のところに、わたしを連れてって!!」

ハっとしたように、穂高はわたしを見た。

「…許せないの。いくらイヴを愛していても、これは、間違ってる。…わたしは絶対にイヴになんかならない。そうじゃなきゃ、陣野先生は、救われない」

「……神音…」

穂高は眩しいものを見つめるように瞳を瞬かせる。

その時、雪音が、粉雪のように柔らかい声で言った。

「かのんお姉ちゃん……雪音は、お姉ちゃんが…大好き。ずっと…雪音のそばに、いて」

そして、6年ぶりに雪音の涙を見た。

瞳を見開いたまま、雪のように涙を流す妹。

「……雪音…」

穂高は雪音の頭をそっと撫でて、切なげに微笑んだ。

「オレが、神音と君を護る。一族の命でオレはずっと生まれた時から君たちを見てきた。オレは……君たちが好きだよ」