「オレたち吸血種族は、『ヴァンパイア』と『吸血鬼』をはっきりと区別している。『ヴァンパイア』はイヴに端を発する永遠の命をもつ種族で、『吸血鬼』は日本に端を発し、ヴァンパイアと同じ吸血行為をするが、寿命は人間と変わらないという種族だ」

オレンジ色の夕焼けが窓から差し込む部屋で、穂高は事実を淡々と述べる。

「君と雪音ちゃん、それに君たちの母親は『吸血鬼』に属する。まだ吸血行為には目覚めていないけどね。そしてオレはイヴの子孫にあたる『ヴァンパイア』と日本古来の『吸血鬼』の雑種で、永遠の命を持っているかは未知数」

永遠の命……。

そんなに長い時を生きる『ヴァンパイア』って一体どんな生活をしているんだろう?

ああ、それよりも、わたしと雪音が『吸血鬼』だったなんて、やっぱりかなり驚きなわけだけど。

いろんなことが頭をよぎっては消えていく。

雪音もとくに驚いた様子もなく、淡々と無表情で聴いている。

「『ヴァンパイア』と『吸血鬼』って永遠の命をもってるかどうかの違いだけなの?」

わたしの質問に穂高は「ああ…」と気づかされたようにうなづいた。

「いや、能力にはいろいろ違いがあってね。『ヴァンパイア』は君も知っているとおり、人間を10日間ほど自分の虜にできる『キスの刻印』の力があったり、強靭な肉体を持っているが、『吸血鬼』は刻印の力を持たないし、肉体も強靭とまではいかない。でも、永遠の命がないということは世代交代しながらどんどん進化していくことができるということなんだ。人間だってどんどん進化してきただろう?だから『吸血鬼』は『ヴァンパイア』とは違う能力をもち、人によって様々な多種多様な能力をっもっている。オレの『癒しの力』みたいにね」