泣きやんだわたしは、穂高を振り返って笑顔で言った。

「穂高はわたしたち姉妹のヒーローかも。わたしの額の傷を治して、雪音の笑顔を取り戻してくれた」

穂高はさっき雪音にしたみたいに、わたしの頭に大きな手を被せて優しく撫でる。

「オレは癒しの力を持っているけど、心までは癒せないんだけどな。でも、雪音ちゃんには届いたみたいだ」

最後にペチペチとわたしの頬を叩いて、柔らかい陽の光のような笑顔を見せる。

その笑顔が眩しくて、わたしは頬を赤らめた。

こんなに優しいヴァンパイアもいるんだ………。

「…穂高、教えて。『わたしたち』のこと。『先生』のこと。『イヴ』が永遠の命をもつなら、まだ生きているってこと?」

穂高はわたしを見つめながら漆黒の瞳を細めた。

そして雪音を見つめる。

「君のことは雪音ちゃんにも関係あることだ。雪音ちゃんも話を聞いてくれるかな?オレたち『ヴァンパイア』にまつわる話を…」

雪音は少し穂高の顔を見つめると、コクリ、とうなづいた。