穂高の舌が、滑らかにわたしの胸を這う。

「……はぁ…ん…やめ、て…ほだ…」

アザがさらに激しく鼓動する。

穂高………どうし……て?

「…ふ…はぁ…神音…ごめん」

「!?」

穂高の唇から白い牙が飛び出し、わたしの胸に突き立てられる。

ズブリ……!!

「……あ……ぁあ……!!!」

痛みと恐怖で、わたしの体はのけぞるように頭からつま先まで震えた。

自分の体に、ヴァンパイアの牙が突き立てられることの意味。

そんなことが頭をよぎったけれど、頭が痺れてうまく考えられない。

グジュ……ジュル……。

少しずつ血を吸われていく感覚に、わたしの頭は麻痺寸前になる。

何も考えられない。

何も考えたくない。

麻痺する感覚に身を委ねて、そのまま花のように海を漂えたら。

わたしは不思議な衝動に駆られていた。



「…………穂高――――――」