保健室への廊下を歩きながら、わたしは前に先生がわたしを保健室に運んでくれたことを思い出した。

「…先生、前にわたしを保健室に運んでくれたよね?ありがとう…それに昨日もヴァンパイアに襲われてたところを助けてくれて…」

先生は何も言わずに、長いまつげを少し揺らした。

「昨日は…先生のこと怖いって思ったけど、今は違うよ。やっぱり先生はあったかい。わたしと先生に一体どんなつながりがあるのか、自分のことさえよくわからないけど……わたし、先生を信じる…信じたいの」

ゆっくりと言葉を選ぶように話すわたしの声を、先生は瞳を伏せがちにただ聴いているようだった。

この沈黙が何を意味するのかはわからないけど、わたしは先生を信じたい。

慕うような瞳で先生を見上げると、先生は少し困ったような顔で苦笑した。

………先生?

保健室に入り、江島先生の姿を探す。

江島先生は白いベッドの仕切りカーテンの向こう側からひょっこり顔を出すと、驚いた表情で駆け寄ってきた。

「どうしたんですか!?陣野先生。具合が…?」

わたしの肩に寄りかかる陣野先生を抱えるように江島先生が肩を貸す。

「たいしたことはないんですよ。ちょっと……貧血です。横にならせてもらえますか?」

苦しげに笑みを浮かべる陣野先生を江島先生がベッドへと誘導する。