「……あの…」

ため息のように思わず出たひと声に、シオは振り返り眉根を寄せる。

だけど、聞かなくてもわかるような気がした。

……ここは、“彼”のエナジーで溢れている。

「……陣野…先生、は、ここに来ることは…あるの?」

シオは、『ああ…』という表情で納得したように頷いた。

「ありますよ」

ドクン、と心臓が高鳴った。

平静を装おいたかったのに、心臓だけは、正直だ。

「ただし、中にはお入りになりません。外から見つめていらっしゃるだけです」

「…え?」

「一千年前、千聖様が殺められてからずっとそうだと聞いています。ここに入ることを自らに禁じている…とも。ご子息を護れなかったご自分を罰しているのかもしれません」

……陣野…先生……。

先生…あなたは、息子を愛していたの?

そして先生……あなたが愛していたイヴは、



――――――――どちらですか……………?