……ちさと…それがわたしの産んだ子の名。

「神音様、あなたはこの16年の記憶しかないでしょうが、一千年前、あなたはある事情によってご自分のヴァンパイアの力を封印され、吸血鬼へと身を窶(やつ)されました。それから一千年の時を経て、あなたは吸血鬼として入江家に引き取られた、そう聞いています」

……一千年、眠って……?

じゃあ、わたしは本当に、イヴの双子の片われだったと言うの?

「覚えておられませんか?あなたがこの場所でたった一人で男児(おのこ)をお産みになられた時のことを……」

稲妻が体中を走り抜けたような感覚に襲われた気がした。

……千聖…ちさと……わたしの……息子……?

………殺されてしまった……わたしの………!!!

「…う…あぁ……」

頭が痛い。

耳鳴りがする。

体中の血が、わたしの吸血鬼の血が、逆流する!!!

ふっと視界が真っ暗闇になり、わたしの体は力を失った。

「……神音ちゃん!!!」

レイの叫びが届いた時には、わたしの体は重力に沈み込むように、レイの胸の中に落ちていった。