雨の中。


穂高はずぶ濡れだったけど、無言のままわたしを家まで送ってくれた。



パパの傘を差しだしたわたしに、彼はいたずらっ子のように微笑んだ。




「ヴァンパイアは、風邪ひかないんだ」




ねぇ、穂高。



ずっと好きだった先生とキスしたことより、



あなたのおでこのキスが忘れられないんだって言ったら、あなたは笑う?



ずっと自分を励ますために作ってきた「好きなものリスト」に、



この日わたしは、リストを一つ追加した。