「それで?どうしてここがわかったんだ?綺羅」

綺羅が少し落ち着いたところで、彼女をベッドに座らせて自分は立ちながら壁に寄りかかるレイ。

わたしは綺羅と少し離れてベッドに腰かけ、二人の話を聞いていた。

綺羅は名を『綺羅・アシュレイ』と名乗った。

もともとイギリス人と日本人のハーフで、金髪も蒼い瞳もそのせいだ。

数か月前、両親が亡くなったショックで自殺しかけていたところに、レイと出会った。

「…ガイアで聞いたの。レイがイヴと行動を共にしているって。イヴの抹殺指令が出たのもほぼ同じ頃で、わたし…どうしていいかわからなくなって。でも、レイの居場所はすぐにわかった。わたし、一度血を吸った相手の血の匂いはどんな遠くでもたどることができるから…」

「綺羅にそんな能力があったなんて知らなかったね。ガイアの連中も知らないんじゃないの?」

レイが探るように眉を吊り上げた。

吸血鬼の特殊能力……。

綺羅だけの特殊な能力だろうけど、もし他の吸血鬼もそんなことができるなら、わたしとレイをつかまえる手段に使われるかもしれない、と恐ろしくなった。

「うん。ガイアの吸血鬼やヴァンパイアはこのことは知らないと思う。わたしもこの能力に目覚めたのはつい最近だから。レイの血は以前に命を助けてもらった時に吸っていたし」

「…レイが、綺羅さんの命を助けたの?」

口をはさんで悪いと思ったけど、気になったことを口にした。

レイは昔を回顧するように、でもそんなこともあったっけという軽い感じで微笑んだ。