「な~にやってんの?綺羅」

これまた靴のまま佇む銀髪の長身の男。

「…レ、レイ…」

と呟いたのは少女のほうだった。

少女は現れたレイを振り返ると耳まで真っ赤にして硬直した。

……な、なにこの展開!?

レイは浴室の壁に呆れたような顔で寄りかかり、綺羅(きら)と呼んだ少女を凝視し続けている。

「美女二人と浴室のデートなんてこの上ない喜びなんだけど、な~んだかオレのことでもめてる?色男もつらいよねぇ」

最後の言葉は威圧的な微笑みで呟く。

「レイ。この子と知り合いなの?」

問いかけたわたしに、レイは一瞬でその笑みを優しい笑みに変えた。

「まぁね。オレ、ガールフレンド多いから」

…訊いたわたしが馬鹿でした。

その隙だった。

綺羅は意外なほど素早い動きで、足元に落ちていたナイフを手に取った。

レイはとくに動くでもなく、綺羅のすることを黙って見ている。

綺羅はナイフをわたしの首にピタリとつけ、震える声でレイに叫んだ。

「レ、レイ!ガイアに戻って。こ…この子を殺されてもいいの!?」