その時、紅い光が一瞬にして轟音をたてて辺りを包んだ。

「…な、なに!?」

レイがわたしの肩を引き寄せながら声を張り上げた。

「…火だ。あいつ…やりやがった。もともと神音ちゃんをこの中におびき寄せるのが目的だったんだ。どこかに発火装置を取り付けていたんだろう。あいつ…沙耶のために君を殺し、自分も死ぬ気だ」

…園田先生、あなたはなんて人なんだろう。

自分が愛したばかりに狂わせてしまった沙耶を救おうと、彼女を死に至らしめる元凶であるわたしとともに死のうとしているなんて。

………でも。

「でも、雪音だけは絶対に嫌!絶対に殺させない……!!」

深紅の瞳が紅い火花を散らす。

レイはそれを見とめると、炎の中、わたしの手を握り、笑った。

「その“鬼の瞳”、ナンパなオレには、ちょっと眩しい」

いつもの口調で少しふざけたように笑う。

……レイ。

レイはすぐに真剣な表情に戻ると、わたしの手を引き階段を駆け上がり始めた。

レイがいてくれてよかった。

一人じゃきっと心細かったから。

階段は螺旋状でストレートに4階に続いていた。

……雪音、お願い、飛び降りたりしないで!!

たとえ血が繋がっていなくても、あなたはわたしの大切な妹………!!!