市内を出て、A県に向けてわたしと穂高は出発した。

ここからA県までは車で3時間はかかる。

穂高は自分のシルバーの小回りの利く車を手慣れた様子で運転している。

助手席でその運転を見守りながら、一人感心してしまうわたし。

生まれて1年ほどしかたっていないのに、運転までしてしまう穂高やレイってどんな運動神経してるんだろう。

運動が苦手なわたしには、心底不思議な難問だった。

14時頃出発してからもう1時間以上たっていた。

「ね、穂高。レイはどこで合流するの?」

穂高は信号を一瞥して車を発進させる。

「レイはちょっと気づいたことがあるらしくて、それを調べ終わったら来るってさ。あいつはスピード狂だからすぐに追いつくさ」

レイがスピード狂と聞いて、冗談ではないと悟った。

…確かにレイの運転は荒かった…。

でもわたしが乗ってたから少しは遠慮してたのかも。

そう思うと、ちょっと怖くなった。

そろそろトンネルに差し掛かるというところだった。

「神音…後ろの黒のワゴン。ずっとオレたちをつけてきてる」

「…え?」

振り返った瞬間、体が揺さぶられるほどの衝撃が走った。