明るい陽射しに、わたしはふっと目を覚ました。

あのあと、いつの間にか眠っていたんだ。

体調は昨日の朝よりずっと良かった。

風邪…少しはよくなったみたい。

雪音のことを思い出し、まどろんでいる瞳を見開く。

その瞬間、わたしの鼻が目の前にあった何かにぶつかり、わたしは鼻を押さえて頭を後ろに移動した。

…ゴンッ。

鈍い音に今度は起き上って頭を押さえる。

「……ったぁ」

「なにやってんの?神音」

「…ほ、ほだかっ」

…な、なんで?いつの間に穂高が横に寝てたの!?

わたしの鼻がぶつかったの、穂高の鼻じゃない!!

穂高は、余裕な眼差しでサラサラの髪を頬に落としながら、ベッドに頬杖をついてわたしを見上げた。

「おはよ。うさぎちゃん」

「………!!!」

バスっとわたしが投げた枕が穂高の顔に命中した。

「うさぎで悪かったわね!!穂高までレイみたいなこと言わないでよ~!」

「よかった。元気でたみたいだな。支度して行こう。レイの昔の恋人と、10時に病院近くのサテンで待ち合わせだ」

……穂高…ひょっとして、わざとからかったのかな?

穂高は急にクールな表情に戻ると、バっと来ているTシャツを脱ぎ、逞しい上半身を露わにした。

「!?」

真っ赤になって目を逸らしたわたしには気づかずに、平然とした表情で黒のシャツに着替える穂高。

……穂高…こんなちょっとしたことで、あなたにドキドキするわたしを……あなたはきっとまだ知らない、ね。