『おいお~い、お二人さん。レイ様を忘れちゃいないかい?オレ必死に調べたんだぜ~。陣野と沙耶たちの関係を。ちょっとは頼ってくれよ』

レイの言葉に、穂高とわたしは顔を見合わせた。

「レイ、お前、今どこにいるんだ?」

『やっとオレを頼る気になった?実は君のマンションの隣のサテンにいるんだ。なかなか美人のウェイトレス揃いで眺めがよいよ~』




「レイ、オレの部屋に上がってきてもよかったんだぜ」

わたしと穂高は、マンションの横にある小さな喫茶店に入った。

お客はまばらで、レイの銀髪がやけに目立つ。

レイは4人席に一人で悠々とコーヒーを飲みながら座っていた。

「オレは男の部屋に入る趣味はないの!こっちの方が眺めがいいしね」

そう言ってウェイトレスの女の子を眺めまわす。

穂高は座ってすぐに手早くわたしの分と2つコーヒーを注文すると、レイに向き直った。

「で、陣野と沙耶たちの関係って?」

レイは肩まで伸びる銀髪を指でくるりとねじったあとで、言った。

「沙耶は一度自殺しようとした。陣野はその時、命を助けた命の恩人さ」

………先生が、沙耶の命の恩人…!?

「ヴァンパイアと吸血鬼の混血である園田が、沙耶を愛したあまり吸血鬼にした。沙耶と園田はしばらくは幸せに暮らしていた。だが、娘を園田に殺され憔悴しきった沙耶は海で入水自殺しようとした。それを助けたのが、陣野さ。そして命は助かったものの精神的に破たんをきたした彼女は精神科に入れられ、園田は同じ病院でずっと彼女を監視していた」