「……雪音が……!!」

ふるふると震えるわたしの肩を穂高がぎゅっと抱きしめる。

…どうしよう、雪音…わたしのせいで…雪音が……!!

穂高がわたしの心を読み取ったように、囁いた。

「神音、君のせいじゃない。雪音ちゃんは絶対に取り戻す。心配するな」

わたしは震える声で携帯に向かって呼びかけた。

「レイ…!雪音は、どこにいるの?」

『まだ…わからない。だけど、オレに携帯を寄こしたってことは、そのうち連絡してくるはずだよ』

雪音が心配でたまらなかった。

雪音は学校以外、ほとんどわたしから離れたことがないのに……。

「…でも、沙耶さんがどこにいるかわからない…。どうしよう、穂高。沙耶さんは陣野先生がどこかに連れて行ってしまったの!」

「陣野は一体彼女をどうしようとしているんだ?『イヴの欠片』が欲しいならもうとっくに手に入れているはずだ。神音、沙耶のアザはどこにあるんだ?」

穂高に言われてわたしは左手で自分の右肩を指差した。

「ここよ」

「そうか。神音、ちょっとごめん」

穂高はわたしのシャツをスッと捲って、右肩を見た。

「まだアザは現れていない。陣野は沙耶のイヴの欠片に触れてないんだ。……いったいなぜ?」