血を吸い終わって、穂高がわたしの首の傷を舐めているその時。

穂高の携帯が鳴った。

「…穂高…携帯鳴ってる」

「…ほっとこう。こんないい時にかけてくる奴なんて、レイに決まってる」

舐めながら、穂高が吐息まじりに言う。

「…っ…レイなら出なきゃ!沙耶たちのこと、何かわかったのかもしれないっ」

わたしの慌てぶりに、穂高は唇を離すと、ベッドの下に落ちていた黒の携帯を手に取った。

「…レイか?」

『いちゃいちゃ?いちゃいちゃだね?穂高が神音ちゃんを部屋に連れ込むところ見ちゃった~。ダメだなぁ、野獣になっちゃ。神音ちゃん、まだかわいいうさぎなんだから』

携帯を通してわたしにもレイの声が聴こえてきて、わたしの顔は沸騰したように真っ赤になった。

「レイ…冷やかしなら、切るぞ」

穂高が携帯を切ろうとした瞬間、慌てたレイの声がわたしの胸に突き刺さった。

『神音ちゃんの妹が、さらわれたんだ』

………え…………?

「…レイ、どういうことだ?」

驚きと困惑の声音で、穂高が問う。

『穂高と神音ちゃんが園田の家を出たあと、オレは園田の動きを探っていた。奴は車で家を出ると、そのまま神音ちゃんの家に向かったんだ。そして、帰宅してきた雪音ちゃんを外で捕まえて無理やり車に乗せた。奴は、車を発進させる直前、オレがつけていたのを知っていて、オレに自分の携帯を投げてよこした。車で追ってみたが、途中で見失ったところで、奴から電話がきた。『雪音を返して欲しければ、沙耶とイヴを連れてこい』って』

…………雪音…………!!!