「…『イヴの欠片』が、神音の意志に共鳴した…?」

穂高は瞳を見開いたまま、わたしの上から降り、わたしから顔を背け、ベッドの上に座った。

その時、不思議な声を聞いた。

胸の奥に、ゆるやかに流れるような艶のある声。

『……愛しているなら、ちゃんと伝えなきゃ、だめよ』

……この声………!!

ガバっと起きて辺りを見回す。

「…神音…?」

誰もいないのに、確かに響くその声。

「……江島…先生…」

それは確かに、陣野先生を愛して逝ってしまった保険医の江島先生の声だった。

……まさか!!

胸の薔薇のアザに触れ、凝視する。

まだ赤い光を帯びたソレは、わたしの体をそっと包み込むような温かさを放っていた。

……江島先生……ここに、いたんだね。

先生の包み込むような愛に、わたしは涙を零した。




「好きよ、穂高」