「…っぐぁああ…」

突如、園田先生の苦しげな声が降りてきた。

その瞬間、絞められていた首の鎖が緩み、締まっていた喉に空気がどっと入りこんできた。

「…コホ…ゴホッ…」

咳き込みながら後ろを振り返った。

……いったい、何が……!?

黒い、闇のような長身が薄暗くなった部屋に浮かぶ。

……だ……れ……?

「…お前も、鬼になるか…?」

園田先生の首を片手で持ちあげ、捻り上げている漆黒の髪の男性。

「…ケホッ……陣野先生……!!」

鬼のような深紅の瞳が、一瞬光ったような気がした。

陣野先生は首を絞められ気を失いかけている園田先生の首に、一気に咬みついた。

そこは……あのアザのあった場所だった。

ジュル……グジュ……という血を吸う音が部屋の空気を凍らせる。

陣野先生は牙を抜くと、園田先生を床へ転がすように投げた。

「マズいな…偽物のイヴの欠片は」

苦々しい顔をして、園田先生を一瞥する。

「……せん…せい……?」

陣野先生はわたしを抱き起すと、氷のような瞳のまま、わたしを見つめた。