カチコチと規則正しく鳴り響く音に、わたしはぼんやりと瞳を開けた。

「……ここは…?」

音のもとを探すように回りを見渡した。

音は、わたしの前方10メートルほど先にある壁に架けられている鳩時計のものだった。

鳩時計なんて、初めて見た。

切りのいい時間になると、鳩が顔をだしてポッポと鳴く仕掛けのある古いタイプの時計。

ずいぶん年代物なんだろうなとさらに周りを見渡すと、ここはどうやらリビングルームのようで、あちらこちらに年代物らしき高価そうなソファやテーブル電気スタンドなどの家具が散らばっている。

ぼんやりとした頭で、ふと自分の体がすごく窮屈なことに気がついた。

床に横向きに寝ている状態の体を起こそうとするが、うまくいかない。

「手も、足も縛られてる…!?」

やっと思い出した。

……わたし、園田先生に気絶させられて車に乗せられたんだ。

「……くっ…」

歯を食いしばりながら、ひじを使ってなんとか起き上った。

両手は後ろ手に縛られ、両足もしっかりと足首のところを鎖で縛られていた。

その時。

リビングのドアがゆっくりと開き、蒼白い顔の金髪の女性が入ってきた。

………国枝沙耶………!!