穂高からもらった『死に花』を赤い薔薇とは別の花瓶に入れて、自分の部屋に飾った。

茎も折れかかっている枯れた花だけれど、とても愛おしく感じた。

突然、コンコンとノックする音と雪音の声が聴こえた。

「お姉ちゃん……入って…いい?」

「雪音、起きたのね!!」

ドアを開けると、雪音はお気に入りの赤いうさぎのぬいぐるみを抱いて立っていた。

「雪音、怖かったでしょ?ごめんね、一人にして…」

雪音を抱きしめる。

雪音は瞬きを何度かしたのち、「ううん、雪音…だいじょーぶ…」と呟いた。

ベッドに隣同士で座って雪音の顔をじっと見た。

雪音は少し何かを考える様に下を向きながらうさぎの耳をいじっていた。

雪音が何かを考える時の癖だ。

「雪音…一人になったあと、何があったの?あの女の人…雪音に何かした?」

なるべくゆっくりと優しい口調で雪音の表情の変化を探りながら訊いてみた。

雪音は下を向きながら黙って聞いていたけど、表情から読み取れるものは何もなかった。

「園田せんせ…来た。雪音の手を…掴んで…そしたら、きれーな女の人来て…おっきな声出して、せんせ、びっくりして雪音を離した…」

………園田…先生……が…?