「血なら、オレの血の味は最高だよ、泉水ちゃん」

レイが仰向けに倒れる泉水を抱き起し、ニッコリと泉水の顔を覗き込んだ。

「あ…あんた…ナンパ男…」

泉水が薄く瞳を開けながらレイの頬を打つように手を挙げた。

その手を片手でグイっと掴んだレイは、色っぽい唇で囁く。

「ナンパ男でも、君に殺される覚悟はあるよ。泉水ちゃんの気のすむまで、飲むといい」

そう言って自分のシャツのボタンを引きちぎり、逞しい胸から首にかけての全てを泉水に差しだすように傾けた。

「あんた……どうして……?わたし、あんたを殺すかもしれないよ?」

荒い息で泉水がレイの首筋に触れる。

「構わないよ。オレのナンパはいつも命懸けなの。でも、君がオレを殺さなかったら、その時は、キスさせてもらう」

……レイ………。

ただのナンパに見えなくもなかったけど、レイの瞳は真剣だった。

真剣に、泉水の生きる意志に懸けていた。

泉水は少し迷うように、レイに触れていた手をさまよわせた。

そして思いきったようにグっとレイの首を掴むと、白く光る牙を突き出し、レイの首に鋭い牙を突き立てた。

「……ぐっ……」

レイの呻きと、ジュル…という血を吸う音が海風にのってわたしの耳をつく。

「………レイ……!」

泉水の吸血の勢いは、ケガのせいからか、すごい勢いだった。

不安になりながら、穂高を見上げる。

穂高はじっとその吸血の行方を見つめていた。