「……どういうこと?」

泉水は冷たく渇いた声で陣野先生に問いかけた。

「お前の『イヴの欠片』には、まだ迷いがある。まだ、『イヴ』に取り込まれまいとする、迷いの色が、な」

「!?」

先生の腕の中で、わたしは泉水の渇いた表情がみるみる変わっていくのを見ていた。

渇きから、迷い、そして憂いの表情へと。

……泉水………。

先生、もしかして、先生は泉水の心を確かめるために、『イヴの欠片』を見ようと……?

「お前には、まだ、殺したい男がいるのだろう?」

泉水の表情が、はっきりと、先生の言葉に反応し、それを『肯定』しているのがわかった。

「……くっ」

泉水は突然走り出し、わたしと先生を押しのけるようにして外へ出て行った。

「……泉水……」

ふと、先生の腕がわたしをしっかりと抱きしめているのを感じた。

「……先生……?」

見上げた先生の瞳は、少し、優しかった。

「…行け。泉水の叫びを『感じた』だろう?」




先生…………!!

どうして、なんでなの、先生!!


冷たくしたり、優しくなったり、



先生の気持が………………わからないよ!!!