最後のラブレター

だって
そうでしょう?

女子トイレに入って
電気をつけて携帯を取って
出てくるまでの時間なんて
ほんの10秒位なのに…

トイレまでの廊下が薄暗いから
一緒に来てくれて…

でも
私に悪いと思わせたくなくて
トイレに行きたかった
って嘘を付いてくれたんだ

胸がポカポカ暖かくなって行くのがわかった


「笹原先生……
お礼にコレどうぞ!」


笹原先生の前に
袋に入ったリンゴジュースを
差し出した

…キョーコごめんね(笑)

「ジュースじゃん!くれるの?」

袋から取り出したジュースを
手にとりながら
キラキラした笑顔で喜んでる
笹原先生は何か子供みたくて
無償に可愛かった


「はい!ほらお揃いです♪」


私は飲みかけのリンゴジュースを
バックから取り出した

「おっ!俺にくれる為に買ってくれたんや~っ?」

「はいはい、そういう事にしますよっ」

「「ハハハハハハハハハハ…」」

暗い廊下に明るい笑い声が響いた

それから
リンゴジュースを飲みながら
門まで送ってもらって
手を振って別れた

「じゃあ気をつけてねー!」

「はーい!さよなら!」


ニヤけが止まらない帰り道。

今日は
何回信号にひっかかっても
まだまだ冷たく突き刺さる様な風も
全部許せちゃう


「ただいまーっ!」

誰も居ない家が
ちょっと淋しかったけど…
それも許せちゃう


早速キョーコに報告した