最後のラブレター

「すいませ~ん!!」

暗くて誰か分かんないけど
男の人っぽい。


「どうしたのーっ?」

かなり低いハスキーボイス。

すぐ分かった。




この声…



「笹原先生!」

「あっ、蓮見さんか~!」


笹原先生も声で私だと
分かってくれたみたいだった

小走りで近付いてきた
笹原先生の顔が
段々とはっきりしてきた

ハッキリとした顔立ちに
八重歯が見える笑顔。


「こんな時間に蓮見さんどうしたのっ?」

「笹原先生~…携帯教習所のトイレに忘れてきちゃった」

「うそ!?ハハハハハハハハ…」

なぜか爆笑しながら
笹原先生は門を開けてくれた

「何で笑うんですかーっ!」

「いやーごめんごめん!
ドジだなぁと思って!」

「もーっ!」

笹原先生が開けてくれた
門から教習所のホールまで
2人で歩いて行った。

今は笹原先生を含めて
3人しかいないらしい

…っていっても
指導員自体
そんなに多くないんだけどね


自動ドアを開いてホールに入ると
中にいた2人の指導員の視線が
一点に私に集まった

…あっ…どうしよう

「あの…忘れ…」

私が言いかけた時笹原先生が
2人の指導員に向かって
喋り出した

「笹原さんトイレに忘れ物しちゃったみたいなんで!」