龍斗君は一度目を閉じた。
そして、ゆっくり開くと…
皐月ちゃんの頬に手をソッと当てた。
皐月ちゃんが少しビクッとした。
龍斗君は…ゆっくり皐月ちゃんに近づいていった…。
嫌ぁっ!!!!!
『っ…龍斗君っ!!』
私の声は戻ってきていて…、私は思わず叫んでいた。
私の声を聞き、龍斗君はパッと皐月ちゃんから離れ、こっちを見た…。
『莉依っ……』
龍斗君の顔を真正面から見たら、急に涙がこぼれてきた。
私は、こんなことで泣いてるのを見られたくなくて…
龍斗君に退かれたくなくて…
龍斗君に背を向けて走り出した。
『莉依っ!!!』
後ろから龍斗君が私を呼んだけど…
恥ずかしくて止まれなかった…。

