放課後、実玖ちゃんは吹奏楽部に入りたいと言って、見学に行った。
私はイマイチそんな気分にはなれなかったので、帰ることにした。
一人で下駄箱で靴にはきかえていたら、後ろから声がした。
『帰るんですか?』
ドキッとした。
嬉しくなって振り返ると、予想通り龍斗君がいた。
『龍斗君!あぁ~…うん。帰るね。』
『部活、見ないんですか?』
『うん。何か、そんな気分じゃないし』
『どんな気分なんですか?』
『えっ…?』
言えないでしょ…。
龍斗君のこと考えて、集中出来ないなんて…。
『いやぁ~…』
私が言えないでいると、龍斗君がニヤッと笑った。
『俺のこと考えて集中出来ないんですか?』
『はっ?!』
何で分かるの?!