クルーザーの燃料タンクも
そろそろ底が着きそうで
あたしたちは近くの港に留った。
近くと言ってもラフランス王国のような
王国の8割が森林というわけではなく
砂や土色の多彩な素材が微妙な色調を生み出す家々が
重なるように並んでいる町だった。
それは、あたしたちにとっては都会のようなものだ。
「ひゃ~!心地よい街ですね!」
ヒカルは大きく深呼吸をする。
ラフ(と言ってもサバイバルには匹敵だ)な格好
のあたしと黒スーツ姿(ヨレヨレで第一ボタン開いてますが)のヒカル
は、ちょっと浮いてるみたいだった。
視界に広がるのは商店街。
あたしたちにはそれが新鮮で心が躍る。
進み入ると皆が活気ある声で客を呼び込む。
それってなんかすげぇ。
これがこの町の特色なんだろうなぁ…。
そう思うのもつかの間、
人々の活気づいた声は一瞬にして叫び声に変わる。
子供も大人も血相を変えて建物の中へ入っていく。
「敵が来たぞー!早く家の中に入れー!!!」
サイレンが鳴り、次々と店のシャッターが閉まっていく。
「いったい何が起きたんでしょう…。」
「わからない。」
あたしとヒカルは訳が分からずただ呆然とその光景を見ていた。
「お前らぁ!何やってる!!早く中入れ!!」
ドアを閉めかけるおじさんがあたしたちに声かけた。
「なんでよ!おっさん!!」
「いいから中入れ!!」
急かすようにおじさんが怒鳴ったので
あたしたちはしぶしぶとおじさんの家の中に入った。


