「ま、アメリカから安東凱が来てるってことにはちょっとびっくりしたけどね」
サオリさんが煙を吐き出しながら少し笑ってそう言った。
「修ちゃんは・・・栗原コーチには時間がないんですか?」
「時間がないってことはないけど、あるってわけでもないわね」
「・・・・・」
「あと、この際だから言っておくけど、多分すぐにわかることだから」
タバコを灰皿に押し付けながらサオリさんがなんでもないように話をした。
「修也ね、多分あなたとは本気じゃないと思う」
「・・・・?」
体が張り付いたように動かない。
「だって、もう結婚相手も決まってるもの」
「え?」
かすれて私の声は音にはならなかった。

