いろんな気持ちが、思い出と共にあふれ出してくる。 凱、凱。 「ほら!泣くな!!」 凱の手が私の頬を包むようにぽんぽんと軽く叩いた。 その時彼の周りの空気が動いて、 あれ? と思って、凱の顔を見上げた瞬間だった。 「堂島?」 体育館の入り口の方から聞こえるのは・・・修ちゃん? とっさにぱっと凱と距離をとったのに、 「ここだよ」 って言うことは出来なかった。 凱も黙ったまま何も言わない。 また出て行く音が聞こえて、ようやく一瞬走った体の緊張がほぐれていくようだった。