「サキちゃん……凱は?凱は、どこ?」 複雑そうな表情を浮かべたサキちゃんに修ちゃんが少しどなるように尋ねる。 「凱はどこ?」 一瞬びくっ、と体を震わせて、サキちゃんが指差した向こう。 看護師さんが出たり入ったりしてるその部屋… 「サキちゃん…凱、なんともないよね…?」 震える声でやっと尋ねた私にサキちゃんは顔を背けた。 「サキちゃん…」 「汐、行こう」 修ちゃんにうながされるように肩を押された私の視界の隅でサキちゃんがうつむいて肩を震わせたのが、見えた。