「ここで、いいよ・・・・ありがとう」
マンション近くの道で、車を停めてもらうと、凱はカーステレオの音楽を切った。
「今日は・・・・ありがとう。本当に、助かった・・・」
笑ってみせた私に、凱は手を伸ばしてぽんと頭を叩いた。
「ば~か・・・無理すんな」
後半の少しかすれた声に、また私の涙腺が刺激される。
バカは・・・・凱の方だよ。
せっかく、我慢してたのに。
「・・・・修ちゃんは・・・バイバイ、って・・・・。なんか嘘で、わかんなくて、手が、すごく熱くて・・・悔しいし・・・悲しくて・・・・」
いろんな感情が一度に押し寄せてきて、自分でも支離滅裂だな、ってわかるけど、しゃくりあげながら出る言葉はそれでも止まらなかった。
そんな私のわけのわからない、言葉も、鼻水まじりの涙も、凱は私の頭に手をのせたまま黙って聞いてくれてた。

