「だから、泣いてなんか、ないって・・・・」
『鼻水も出てる。超ブスになってるぞ、お前』
「鼻水なんて、出てないもんっ」
あはは、という笑い声と共に、凱の声が明るく変わった。
『汐、横見て』
「え?」
『違う、違う、左、あ、右か』
きょろきょろして周りを見ると、門の向こうの方に止まった自動車。
運転席で手を挙げてるのは・・・凱?
「凱?」
『俺も会いたかったから、来ちゃった。ちょっと付き合え』
そう言って切れた電話を手に握り締めたまま、私は走り出した。
相変わらず少し俺様な感じは、高校生の時から変わらない。
こんな嬉しいサプライズも。

