「汐さんは、ズルイ･･･」
そう泣き崩れたサキちゃんに私は何も言うことが出来なかった。
だって、その通りだもん。
その通り････。
わかってたけど･････やっぱり、つらいな。
凛と別れて大学の門を出ようとしたところで、携帯が震えた。
軽く目をこすってから携帯を耳に当てた。
「はい」
『汐？』
「凱･･････」
ほんの何時間前に別れたばかりなのに････止められないよ。
「凱、会いたい。会いたい････」
『俺も』
「･････」
『何？嬉しくて、泣いてんの？』
「え？泣いてなんか、ないよ？」
少し声を張り上げると、電話の向こうで少し沈黙の後、低い声が聞こえた。
『汐････泣くな。』
